2007.9.27(木) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ rinka[りんか] 148号 「森林文化社会の実現」 夢ある森林づくり http://www.rinka.info/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ もくじ ───────────────── 1. ブログ『益田森林・林業普及情報』について 最終回 森林文化社会の実現を目指して 甲佐秀司 島根県西部農林振興センター益田事務所 2 全林協の新刊 3. 編集室から 島根に森をもつ東京の読者からのメール ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1. gooブログ『益田森林・林業普及情報』について 最終回 森林文化社会の実現を目指して 甲佐秀司 島根県西部農林振興センター益田事務所 主任林業普及員 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■益田森林・林業普及情報 http://blog.goo.ne.jp/f-masuda_001 ●幼い頃の『夢』 プロフィールに記載されているとおり、私の出身地は益田市匹見町(合併前 は美濃郡匹見町)です。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、『匹見町』 と言えば『過疎』の町として有名で、教科書にも写真付きで掲載されるほどで した。 私はこの匹見町でも奥部に位置する「広見」という地区に3歳まで住んでい ましたが、県及び町が実施した「集落再編成事業(集団移転)」により、町の中 心部に移り住むこととなったのです。 私が小学校低学年であった頃の夢は「広見」を、たくさんの人が住む場所に したいということでした。地域全体で移り住むという異常事態に、幼いながら も何か感じとっていたのかもしれません。 現在、「広見」には住居跡に碑が残っているだけですが、こんなに虚しい風景 はありません。 ●匹見町は素材生産業で栄えていた! 匹見町では、江戸時代に、「しゃもじ」や「お椀」を作るために木地師が行き 来し、木炭を大量に使用する「タタラ製鉄」も始まったため、木材の需要量は 増大していきました。明治20年代には鉄道の枕木に使用するクリの伐採が広 見を中心に行われ、筏流しにより匹見川を下り、益田市まで搬出されたそうで す。 大正に入っても木材需要は拡大し続け、大正13年には、匹見−益田間・約 30kmにも及ぶ『益田索道』が完成し、匹見からは木材や木炭が、益田から は生活物資が搬送されました(昭和26年に閉鎖 ブログでも取りあげていま す)。 昭和30年には、人口は7500人(現在は1600人)にものぼり、用材 ・木炭・薪といった林業生産高は農林産物総生産高の75%を占め、「林業」は 匹見町の生産所得の60%を占める主要産業だったのです。 しかし、現在はと言うと・・・。 (参考文献 『匹見町誌』現代編(発行:益田市)) ●『森林文化社会』の実現を目指す! 林業の衰退は匹見町に限ったことではなく、全国の山間部では、同様の悩み を抱えていると思います。 今回は、「これから山村地域(林業)はどうすれば良いのだろう?」と、(私 にしては珍しく)真面目に考えていたときに読んだ本の内容について、少し触 れたいと思います。 平成10年3月、鹿足郡日原町(現在は合併したため津和野町)において、 ある地域政策フォーラムが開催されました。そこで基調講演をされたのが、 元林野庁長官であり、現在は『森林塾』を運営され、精力的に活動されている 小澤普照氏でした。 講演は、『森林文化社会の実現をめざして』というテーマで行われており、小 澤氏の著書「エコビレッジへようこそ」(発行:第一プランニングセンター) に、内容が掲載されています。 この中で、東大の筒井名誉教授が著書で記載されている「森林文化」という 言葉について、次のように引用し説明されています。 「森林というのは利用があって成り立っている。 多目的に森林を利用する場合の人間のスタンスとして3点挙げられる。 1.森林が持っている自然性の尊重。 2.長期性。森林は長期的な展望に立って管理するもの。共存共栄するもの。 3.収益性の還元。森林から上がった収益は森林に戻して欲しい。 この3点を守れば、利益を受ける人間と森林との一体性が失われることはない。 このような森林と受益者との関わり合いを通じ、新しい『森林文化』が創造さ れるであろう。 再言すれば、森林が所在する山村の地域文化の創造とも言える。」 大げさな言い方かもしれませんが、現状を変えて、新しい山村の地域文化を 創造していくためのお手伝いをするのが、我々、林業普及員に与えられた使命 なのではないかと思います。 特に前述3の項目『収益性の還元』については、林業関係者なら誰しも、頭 を悩ませていることだと思います。この点をいかに解決していくかが、今後の 課題です。 講演の終わりには、森林文化社会の実現に必要なものとして、次の2点につ いて説明されています。 1.人づくり(=マルチ人間の育成) たとえば、公務員の業務について言いますと、人口が多い都市部の自治体で あれば、「縦割り・分業制」をとり、専門の人間が対応するシステムでなければ 到底、数多くの様々な問題に対応できません。 しかし、人の少ない田舎でも同様に、分業・専門的対応のみで、業務にあた っているようでは、住民の要望に応えることはできません。行政職員に限らず、 地元のためならば、どんな苦労も厭わないという、何でもできる行動力のある 人間(マルチ人間)がいなければ、地域を存続させることが難しい状況にある のです。特に、山間僻地では。 益田管内の実情はどうかと言いますと、近年、森林・林業関係のイベントに 取り組むNPO等の団体(若手行政職員がメンバーに入っているもの)が増え ています。小澤氏が顧問を務める『遊木民倶楽部(益田市匹見町道川)』もその 1つであり、都市住民との交流イベントを開催されています。 また、ある市町では、木質バイオマスの活用についても検討を本格化してお り、「民」だけでなく「官」についても動きが活発化しています。これらの団体 に共通しているのは、「地元を愛し、行動するマルチ人間」がいることです。 2.情報交流 いくら活発に取り組んでいても、その内容を情報発信しなければ、活動内容 に広がりが出てきません。 森林・林業分野の各団体がホームページを立ち上げていますが、他の分野に 比べると遅れていると小澤氏は指摘されています。 昨年の7月から、ブログに真剣に取り組み始めたのですが、実は、小澤氏の この著書を読んだことがきっかけだったのです! 私の職務は、各事業体の取組をサポートするだけでなく、活動・取組事例を 広くPRすることだと思っています。 ブログは手軽に取り組むことができますし、他のサイトとリンクさせて、情 報交流の場ともなります。ブログは活動PRの有効な手法なのです。 ●最後に仲間を紹介して終わります! 今回の連載の終わり方について、実は、各回のテーマより先に決めていたの です!益田管内の地域の為(獣害対策も含めて)、高津川流域の森林・林業の為 に頑張っている私の仲間を最後に紹介させていただきます! 益田市役所の潮さん・柳井さん、美都総合支所の桐田さん・和田さん、 匹見総合支所の田中さん・村上さん・藤井さん、津和野町役場の中岡さん・ 藤本さん、吉賀町役場の青木さん・原田さん・齋藤さん・長井さん、 高津川森林組合の村上さん・中島さん・長嶺さん・青木さん・水村さん・ 玉置さん、(株)美都森林の土佐さん・齋藤さん、大和森林(株)佐々木さん、 (株)リンケンの田村さん 私がお世話になっている方は、他にもいらっしゃいますが、特に関わりのあ る方々(仲間)を紹介させていただきました。 今後も、仲間が中心となり、『森林文化社会の実現』に向けて、高津川流域の 『山づくり・マチづくり・人づくり』は進められて行きます。そして、当然、 県もサポートを続けて参ります!もう『広見』のような地域を作りたくありま せんので。 全林協さんには、貴重な機会を与えていただき本当に感謝しております。 そして、メルマガ「rinka」読者の皆様、私の拙い文章を最後までお読みいただ きありがとうございました(最後も長文になってしまいました!)。 今回で、メルマガへの登場は最後となりますので、以後はブログ『益田森林 ・林業普及情報』でお目に掛かりたいと思います。 全林協さんの各サイトとともに、ブログ『益田森林・林業普及情報』につい てもよろしくお願いします。 今後ともご贔屓に! ────────────────────────────── ■益田森林・林業普及情報 http://blog.goo.ne.jp/f-masuda_001 ──────────────────────────────────── ★甲佐秀司さん 68年島根県益田市匹見町生まれ。95年から島根県職員。 ──────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3. 全林協の図書・冊子 http://www.rinka.info/click_mag/m-shoten.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ─増刷 担当者必携!────────────────────────── ■『森林施業計画ガイドブック』 森林施業計画がわかる本 林野庁監修 森林施業計画研究会編 定価3360円 ISBN-88138-160-1 http://www.rinka.info/click_mag/t_segyougide.html ──新刊冊子────────────────────────────── ◆『林業・木材産業改善資金のしおり』(2007年版) A4 カラー 8頁 定価157円 http://www.rinka.info/click_mag/p_kaizen.html 資金の活用事例をイラストで説明しています。 ─────────────────────────────────── ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓ 全┃林┃協┃の┃本┃ ┃月┃刊┃誌┃の┃お┃申┃し┃込┃み┃方┃法┃ ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ ○お申込みは(社)全国林業改良普及協会(略称・全林協)からどうぞ。 (送料・一律350円 お買い上げ5000円以上・送料無料です) http://www.rinka.info/click_mag/m-shoten.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3. 編集室から info@rinka.info ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼rinkaアンケートに、以下のメールをいただきました。 『私は、東京在住の55歳の会社員です。島根県に少しばかりの山林を所有し ていますが、祖父が植林してから既に50年以上も放置されたままで、ずっと 気になっていました。 私自身は退職後は田舎に戻り、できる範囲で所有林の面倒を見るつもりです が、当面はどうしようもないと諦めていました。 ところが、たまたま島根県西部農林振興センターのブログを拝読して、島根 県には「県民再生の森事業」での助成金制度があることを知りました。そこで 今年の夏休み帰省した際、診断をお願いしたところ、快く現地調査に同行して いただけました。 他府県にもこのような助成事業があるのであれば、もっと積極的にPRされ るべきと思います。このような情報を知れば、不在所有者の意識も次第に目覚 めてくるのではないでしょうか』 誰もがアクセスでき広がっていくホームページやブログの「ちから」を改め て感じます。情報は伝わってこそ「情報」です。そして、地域に根ざした林業 普及事業の大切さも感じます。 ▼甲佐さん、ありがとうございました。「数年後」といわず「ネタが貯まり次第」 ご連絡ください。 ブログ『益田森林・林業普及情報』9月26日の記事と寄せられているコメン ト、当方にとってもうれしいかぎりです。 森林所有者のみなさん、都道府県・市町村の森林・林業・木材・地域振興担 当のみなさん、森に関心があるみなさん、情報発信にrinkaをご活用ください。 ▼さて、次号からのrinkaは、藤原敬さん(全国木材組合連合会)による連載が 始まります。 藤原さんは、違法伐採対策や「ウッドマイレージ」に取り組む一方、自らホ ームページ「持続可能な森林経営のための勉強部屋」を運営し、さまざまな 情報を提供しています。ご期待ください。 中沢和彦 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ rinka[りんか]148号 2007.9.27 ─────────────────────────────────── 【編集・発行】 (社)全国林業改良普及協会 rinka編集部 〒107-0052 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル7階 http://www.rinka.info/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メールを許可なく転載することを禁じます。 .