2008.2.28(木) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ rinka[りんか] 156号 夢ある森林づくり http://www.rinka.info/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ もくじ ───────────────── 1. 森林ボランティア活動のあり方を考える 第3回 「共感型」活動と「解決型」活動 横路美喜緒 2. 全林協の図書 『イラスト図解 林業機械・道具と安全衛生』 3. 編集室から 最優秀賞は京都府立北桑田高校森林リサーチ科 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1. 森林ボランティア活動のあり方を考える 第3回 「共感型」活動と「解決型」活動 グリーンフォーレストジャパン代表 横路美喜緒 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●世代間の思考の違い 前回は、「参加者が増えない、会員を増やすにはどうしたらいいのか、運 営方法は、どんな活動をしたら参加者に満足してもらえるのか…」といった 相談が多いこと、また、その団体の問題点に共通する事は、「活動内容が毎 年同じ」で「まったく会員の変動がない」の二つになりますと書きました。 これらの問題も含めて、団体の運営者に共通する世代間や男女間の思考の 違いが、団体の運営に停滞に及ぼすのではないかと考えています。 多くの森林ボランティア団体の設立趣旨は、森林教育や里山等の身近な森林 を保全、また地域づくり、山村と都市の交流を目的にしていることで、森林 ボランティア活動を行なっています。しかし団体を運営する人たちは、圧倒 的に男性が多いのに気がつきます。 林野庁の森林ボランティアの現状を見ると森林ボランティア団体会員の年 齢層は、60歳以上が40%、50歳以上から見ると中高年層が80%にな っています。この数字は驚く事はないかもしれませんが、中高年層を中心に 活動を行なっている現状は、しょうがない事かもしれないと思っています。 さらに気づくことは、男女比率も男性を中心とする団体が多いはずです。 また、団体の代表者を見ると、圧倒的に男性が多く、女性が代表になってい るのは、里山や雑木林をフィールドにした保全活動や、山村との交流、子供 達を対象にした森林教室など、都市と山村を交流することを目的にする団体 に見られます。これらの団体は代表者や参加者も女性や年齢層も若い方が多 いのにも気がつきます。 ●5つの要素 森林ボランティア団体の代表者の年令と性別、会員の年齢層と男女の比率 を私なりに調べてみると、これまでのあり方や問題点が見えてきます。 団体の代表者や参加者が、男性と女性によって活動内容や運営方針そのも のも大きな違いがあることに気がつきます。年齢層や男女比率の偏りがある のは運営方針や活動内容と共に、代表者が男性か女性かによってかなり変わ ってくる事はハッキリしています。精神医学や診療内科の専門医が、男と女 の違いがあることを指摘しています。それは性格の違いというより、思考や 感覚の違いを言っています。 専門医がカウンセリングする場合は「受容」「共感」「支持」「保証」 「説得」という5つの分け方をしていると聞きます。この分け方は私の業界 (マーケティング)でもよく使われます。 女性をターゲットにした場合の「共感」と「受容」をしてくれなければ支 持されないなどという。また男性をターゲットにすると「説得」と「保証」 をすると、すべてが「解決」するという。これを逆に5つの要素を盛り込む と、失敗するとまで言われています。 団体の運営をしている方々はどうでしょうか。私が感じるには、多くの団 体が「解決型」で活動を行なっているように思えます。当然その団体は男性 が運営や指導を行なっています。そういう団体にはやはり女性が少ない。森 林整備や森づくりなどはやはり男所帯中心にならざるをえないのでしょう。 たしかに奥山や急峻な地形、間伐などの活動は男向きになっているからこ そ森林ボランティアは、これまで維持し続けられたのかもしれませんが。 先の5つの要素で解釈すると、こういう団体は「共感」させることへのメ ッセージがなく、“森林が荒廃しているから間伐しなければならない”など と行動型なのです。 ●共存しあうこと よく空間認知思考は男性にあると言われ、頭の中で物体を思い浮かべ、そ れを回転させて、その形を想像するのは男性に多いと言います。山にあるの は「自然」だ、自然は大きな立体を描けば、一歩動いてもその景色は変わら ない。そこに建物を描き、道を造り、将来を想像する。これを三次元思考と も言われています。 女性に多く見られると言う二次元思考には、平面の捉え方はもっと繊細か もしれません。自然の季節感を感じ、小さい葉音も聞け、匂いも感じ色の違 いを感じるなど、一般的には自分の見渡せる範囲にある現実を細かいところ まで把握し、目の前の利益を生かすことが得意だとも言われています。長期 的・全体的にものごとで判断するのではなく、目の前の荒廃する雑木林や気 になるのではないかと思えます。 男性思考がいい、女性思考でなければいけないということではなく、かな り偏見的なものの捉え方かもしれませんが、男性や女性の特性が団体運営に 潜在的に影響していると思えるからです。私が見て読み取れるのは「噛み合 ない」運営や活動を、この男性観、女性観の違いが大きく作用していると思 えるからです。 よくボランティア団体の分け方で「普及啓発型」と「整備・保全型」団体 と言う分け方を一般的に行なっています。さらに「解決型」と「共感型」で 分析すると実態がさらにわかりやすくなってくるはずと思うからです。 「整備・保全型」を中心とする団体は男性が多く、どうしても森林荒廃に 対して結論や解決を求める傾向にあります。またそれを裏づける「理由」が ないと納得しないのも男性型団体でもあります。それを私は「解決型団体」 と思えます。 「普及啓発型」は、森林の現状の荒廃を何とかしなくてはならない、子供 達の将来にとっても良くないなどと現状分析をして、多くの方々に「共感」 を求めて活動するのが「共感型」団体と思えます。 思考性の違いは「男性観」「女性観」でかなりの方向性が変わってきま す。組織運営そのものも大きくの違いがでます。それが解決思考なのか共感 思考なのかにわけると、まったく別のフィルターを通して世界を見ると、何 に関心を持ち、何に心地よく感じ、何を求め、何を守るのか、といったもの の考え方が違って来ます。 男女差や年齢差による思考形態が違うにもかかわらず、多くの団体は自分 たちが同じものを見て、同じように考えると思い込み、自分のスタイルが多 くの人たちに通用するものと思い込んでいるのではないでしょうか。 ここで大事なのは「解決型」や「共感型」団体が共存し合うとことと言っ てしまえば大げさかもしれませんが、それぞれの要素を取り込む事だと思い ます。 「どうしたら、若い人たちが参加してくれるのだろうか」 「どうしたら、女性参加者が来てくれるのだろうか」 「どうしたら、子供達に参加してもらえるのだろうか」 という問題に対しての解決策は、どうしたら共通する「共感」意識を投げ かけられるか、だと思います。 ────────────────────────────────── ★横路美喜緒(よこじ みきお)さん グリーンフォーレストジャパン代表 ────────────────────────────────── ■グリーンフォーレストジャパン(NPO法人認証申請中) http://greenforestjapan.at.webry.info/ ■NPO法人 埼玉森林サポータークラブ http://www.shinrin-supporter.org/ ■ネイチャーテクノロジー http://www.nature-technology.com/cont.html?ccid=456&cid=487&ssid=0 ────────────────────────────────── ◎(社)国土緑化推進機構 森林ボランティア http://www.green.or.jp/volun/ ────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3. 全林協の図書・冊子 http://www.rinka.info/click_mag/m-shoten.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ──2冊の最新刊────────────────────────── 知りたいところが、ズバリわかる技術のイラスト事典です。 月刊「林業新知識」長期連載の「林業リテラシー」をまとめました。 ─────────────────────────── ■『イラスト図解 林業機械・道具と安全衛生』 http://www.ringyou.or.jp/mail-maga/ISBN978-4-88138-195-3.html 体裁/四六判 カラーイラスト 208頁 ○林業機械・道具編 ソーチェーン/ソーチェーンの目立て/チェーンソーの構造 GPSのしくみ/GPSの利用/林道・作業道・作業路/ワイヤロープの構造ほか ○安全衛生編 安全ズボン/カッパ/中高年齢者と林業作業/林業作業と腰痛/ハチ つつが虫病/ウルシかぶれ/熱射病/応急手当て/林業労働災害/KYTなど ───────────────────────── ■『イラスト図解 造林・育林・保護』 http://www.ringyou.or.jp/mail-maga/ISBN978-4-88138-196-0.html 体裁/四六判 カラーイラスト 176頁 ○造林・育林編 森林の発達段階と炭素固定/炭素固定/アレロパシー/紅葉・黄葉/ ヒノキの挿し木/ヒノキの挿し木苗の仕立て方/空中取り木ほか ○森林保護編 スギザイノタマバエ/シカ害・カモシカ害/ノウサギ害・ノネズミ害ほか ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓ 全┃林┃協┃の┃本┃ ┃月┃刊┃誌┃の┃お┃申┃し┃込┃み┃方┃法┃ ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ (社)全国林業改良普及協会(略称・全林協)からどうぞ。 (送料・一律350円 お買い上げ5000円以上・送料無料です) http://www.rinka.info/click_mag/m-shoten.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4. 編集室から info@rinka.info ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼以前この欄で、「ストップ温暖化『一村一品』大作戦」を紹介しました。 その最優秀賞に、京都府立北桑田高等学校森林リサーチ科の「地元の木を 使って「ウッドマイレージ」を減らそう!」が選ばれました。 地元産スギ・ヒノキ材を使ったログハウスや家具を製作・提供していま す。地元材を使うことにより木材の輸送距離が短縮されCO2の排出削減に つながります。 北桑田高等学校森林リサーチ科のみなさん、おめでとうございます。 ■くわしくは http://www.jccca.org/daisakusen/grandprix.html 地元材を使おう、は「環境時代」のキイワードです。 ▼三会堂ビル2階からの最新号・rinka156号を、1週遅れで1636人にお届 けします(横路さんの原稿は先週いただいていたのですが・・、すみませ ん)。 中沢 和彦 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ rinka[りんか]156号 2008.2.28 ─────────────────────────────────── 【編集・発行】 (社)全国林業改良普及協会 rinka編集部 〒107-0052 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル http://www.rinka.info/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メールを許可なく転載することを禁じます。 .