2008.4.17(木) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ rinka[りんか] 159号 夢ある森林づくり http://www.rinka.info/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ もくじ ───────────────── 1. 森林ボランティア活動のあり方を考える 最終回 「事業」とする考え方で取り組む 横路美喜緒 2. おしらせ SGEC 認証森林 と認定事業体(08年3月) 3. 全林協の新刊 『イラスト図解 造林・育林・保護』ほか 4. 編集室から 「矢作川森の健康診断実行委員会」明日への環境賞受賞 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1. 森林ボランティア活動のあり方を考える 最終回 「事業」とする考え方で取り組むことも必要 グリーンフォーレストジャパン代表 横路美喜緒 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●子どもの力を学ぶ森づくり 前回は、森づくりの新しいムーブメントとして「鬼太郎の森」の活動を紹介 しました。 それは“子どもたちに自然な創造力を育てたい”という私の個人的な思いが あるにせよ、大人の一方的な世界を押しつけるだけではなく、子どもの自然な 心が、われわれ大人にも大きく影響するからと思うからです。 それは子どもの正義感や冒険の心は、現実世界とは違う条件を与えてはじめ て可能といえるからです。 昔から子どもを主人公にする読み物はたくさんありました。宮崎アニメやド ラエモン、古くは金太郎や桃太郎など、昔から今にいたるまで子どもの主人公 にした物語はたくさんあります。 はたや海外ではトムソーヤやハリー・ポッターもしかり、状況設定は様々で すが一様に非現実のメルヘンの世界です。子供の世界は、たんに未熟で粗暴だ ということを超えて、もっと肯定的価値観もったものだと思います。つまり子 どもの活躍は、現実世界とは違う条件を与えてはじめて可能だといえるからで す。そこに描かれる世界は、人間の古くから持っている普遍性を、子供に視点 を据えることで明らかにしたものだからです。 無条件な大人世界の正統性から眺めるのではなく、子どもの想像力は神業に 近い創造力なのです。子どもたちの力はここから生まれてくるのです。総じて 子どもの「冒険」の心は、大人の私たちにとっても、大人になった原動力にな っているはずです。 新しい何かを創造するためには「冒険」が必要であるため、子どもから学ぶ べきものも多いはずです。 日本だけに「こどもの日」があるのは何のためなのでしょうか。子どもと遊 ぶだけではなく、その日は子どもを考え直す日でもあるような気がします。 「鬼太郎の森づくり」を考えると、なぜ鬼太郎は40年間も愛され続けられ ているのでしょうか。 最近の物理学では、従来無駄なものとされたエントロピーを重視されてきま した。それこそが次へのエネルギーになるという考えです。子どもの漫画や映 画に見られる冒険や力やイマジネーションは、このエントロピーによくあては まります。そんなことを考えていくと「鬼太郎の森づくり」は、新たな切り口 になる活動だといえます。 ボランティア活動自体は、これからも窓口を広げながらも多様な発想で多く の森づくりが行なわれていきます。これまでの経験値の発想では時代遅れにな るという思い込みがあるからです。 私は森林ボランティア活動を、これまでの固定観念から考えるのではなく、 ひとつの事業として捉える時代が来ているような気がしています。事業として 捉える活動には、それなりのしっかりした運営と指導が要求されます。事業と して捉えた場合に、マーケティングの発想で運営を構築していくのも新しい運 営だと思います。 ●参考になるマーケティング用語 私はこのコラムを通して、森林ボランティアのこれからのあり方を別な視点 で捉えて見ようと書き進めて来ましたが、結局は本業のマーケティング的な考 察になってしまいました。 マーケティングとは、もともと戦争で使われた考え方なのです。たとえば「キ ャンペーン」等も戦争の用語なのです。つまり戦争に勝つための考え方を、企 業が商品やサービスの競争に勝つために応用し発展させただけなのです。 ランチェスターの法則などは、まさに軍事用語です。英国人ランチェスター が第一次大戦に提唱したもので、武器の性能が同じであれば、必ず兵力数の多 い方が勝つという。この法則を現代の経済活動にも活用されていますが、ボラ ンティア運営にも組織や活動する上で参考になります。 この法則以外にもありますので、主な法則を紹介します。 ◆1:29:300の法則(ハイリッヒの法則) 米国のハイリッヒが労働災害の発生確立を分析したもので、保険会社の経営 に役立てられています。それによると1件の重大災害の裏には29件のかすり 傷程度の軽災害があり、その裏にはケガはないがヒヤッとした300件の体験 があります。この法則は「ヒヤリハット」として知られていますのでご存知の 方も多いと思います。 私たちが活動する森林ボランティアには、林内作業が初めてという人も多く 含まれています。森林内では転倒や、不慣れな作業鎌や鋸によるケガや事故の 可能性が多くあります。間伐のようにチェーンソーを使い、伐採技術を必要と する作業では特に危険性が高く、経験年数だけで指導者になったりもします。 事故やケガが起きてもおかしくない状況になってきています。この法則を十分 認識する必要があります。 ◆2:8の法則(パレードの法則) 全商品の20%が80%の売り上げを作る。全顧客の20%が全体の売りあ げの80%を占める。100の蟻のうち、よく働くのは2割だけ。税金を納め る上位20%が税金総額の80%を負担している。 会員数が多くても少なくても、活動に積極的に参加する人は2割しかいない という事になります。全員を動かすのは大変ですが2割程度の人たちが積極的 に参加してくれれば運営できると思えば気が楽になるはずです。 ◆アイドマの法則 人間の購買意識の深層心理です。アイドマ(AIDMA)の法則とは、Attention (注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action (行動)の頭文字を取ったもので、アメリカのローランド・ホールが提唱した 「消費行動」のプロセスに関する仮説です。 消費者があるモノを知り、それから買うという行動に至るまでのプロセスで あり、コミュニケーションに対する反応プロセスでもあります。 自分の団体をアピールするかを考える上でこれらの法則にあてはめると分か りやすいと思いますので、私はこのアイドマの法則を活動に活かしています。 活動の運営をしておられる多くの方々は、ぜひ参考にしてみてください。 「森林ボランティア活動のあり方を考える」をテーマに、このコラムを書い てきましたが結論めいたものがなかったかもしれませんが、これからも皆さん といっしょにに考えていきたいと思います。 ────────────────────────────────── ★横路美喜緒(よこじ みきお)さん グリーンフォーレストジャパン代表 ────────────────────────────────── ■グリーンフォーレストジャパン(NPO法人認証申請中) http://greenforestjapan.at.webry.info/ ■NPO法人 埼玉森林サポータークラブ http://www.shinrin-supporter.org/ ■ネイチャーテクノロジー http://www.nature-technology.com/cont.html?ccid=456&cid=487&ssid=0 ────────────────────────────────── ━━おしらせ1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『緑の循環』認証会議SGEC 認証森林 と認定事業体(08年3月) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『緑の循環』認証会議(SGEC)は3月末に5件の森林と22件の事業体を 新たに認証・認定しました。このうち全林協が審査を行った『緑の循環』 認証会議の認証森林を紹介します。(敬称を略させていただきました) ──────────────────────────── □認証森林 (08年3月) SGECの認証森林面積は71万4436haになりました。 ■トライ・ウッドSGEC管理協議会(会員23名) 大分県日田市上津江町 957.88ha ■西臼杵森林認証協議会森林認証部会 (会員7名) 宮崎県西臼杵郡日之影町・高千穂町・五ヶ瀬町 662.32ha ■宍粟市市有林 兵庫県宍粟市 2908.05ha ──────────────────────────── ○認定事業体(08年3月) 22件の事業体を新たに認定し、認定事業体数は201になりました。 このうち全林協が審査を行った認定事業体を紹介します。 (敬称を略させていただきました) ●西臼杵森林認証協議会素材生産部会4社 宮崎県西臼杵郡日之影町 抜屋林業、西臼杵森林組合、マルサン、佐藤木材 素材生産・木材販売業 ●木脇産業株式会社 都城地区プレカット事業協同組合 宮崎県都城市丸谷町 宮崎県都城市丸谷町 製材業、木材加工、プレカット、建築 ●持永木材株式会社 宮崎県都城市 製材、木製品販売、プレカット加工 ●(株)小野木材 宮崎県東諸県郡綾町 製材、木製品販売 ●(株)アイ・ホーム 宮崎市砂土原町 住宅の設計・施工・改修等建設 ●熊本木材株式会社 熊本市平山町 原木市場の販売業 ●北見地方木材協同組合連合会 北海道北見市北4条 木材販売業 ●(株)ミヨシ産業 鳥取県米子市 素材生産・木材販売業 ●宍粟市 兵庫県宍粟市山崎町 木材販売 ━━━━━認証森林の内容と審査問い合わせは━━━━━━━ SGEC(『緑の循環』認証会議)森林認証 http://www.rinka.info/click_mag/ninshou-center.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3. 全林協の図書・冊子 http://www.rinka.info/click_mag/m-shoten.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ──新刊 普及双書/ いずれも新書判 定価1155円 ■『大橋慶三郎 道づくりと経営』(双書159)大橋慶三郎著(大阪府指導林家) ■『地域の力を創る−普及が林業を変える』(双書158)白石善也著 ■『ナラ枯れと里山の健康』(双書157) 黒田慶子 編著 http://www.rinka.info/click_mag/sousyo_.html ────────────────────────────────── ◇パンフレット・最新版『保安林のしおり』 A4 16頁 定価231円 http://ringyo.tempo.ne.jp/e_shoppy/www/list.cgi?id=G000500087S00 ─────────────────────────────────── ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓━┓ 全┃林┃協┃の┃本┃ ┃月┃刊┃誌┃の┃お┃申┃し┃込┃み┃方┃法┃ ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ (社)全国林業改良普及協会(略称・全林協)からどうぞ。 (送料・一律350円 お買い上げ5000円以上・送料無料です) http://www.rinka.info/click_mag/m-shoten.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4. 編集室から info@rinka.info ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼さまざまな分野の方が森林にかかわることによって、これまでにはなかった 森林の「価値」が発見されていくように感じます。そして、その価値をとっく に発見しているのが子どもたちなのかもしれません。 森に出かけるのに楽しい季節になりました。 横路さん、ありがとうございました。この原稿の続き、待っています。 横路さんの原稿を読んでいて、数年前の宮崎駿さんへのインタビューを思い 出しました。 カラマツ集成材で造ったというアトリエは、周囲の木を切らないために「部 屋が凹んで」いました。 「木のどんなところに魅力を感じますか、と聞かれることがあります。でも、 そうしたことを思うこと自体が不遜でしょう。だって、僕たちは木に依存して 生きているわけですし、木に生かしてもらってる」。 そう語る宮崎さんは、「隣り近所で会をつくっている小さな雑木林の保全活動」 のことも話されていました。 ▼次号からのrinkaは、「文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者 会議」事務局長・足本裕子さんの連載が始まります。ご期待ください。 http://www.bunkaisan.jp/index.php そういえば、日光・月光菩薩立像が上野で公開されてるなあ・・と、あやしげ な雲ゆきの昼休みに、週末を思ったりもします。 足本さんは、もう行かれたのでしょうか。 ▼朝日新聞に第9回「明日への環境賞」受賞団体が掲載されていました。 受賞3団体のなかに『矢作川森の健康診断実行委員会』が入っていました。 代表の丹羽健司さんには、昨年の春、メルマガrinkaで「愉しくて少しために なる森林ボランティア論」を4回連載していただきました。 http://www.rinka.info/mm/142_index_msg.html 刺激的で、これからの森林を考えるうえで参考になる文章です。ぜひ。 矢作川森の健康診断実行委員会のみなさん、おめでとうございます。 ▼東京は、すっかり葉桜です。 風の翌日、郊外の雑木林を歩くと、撒いたような桜の畑でした。 しなやかな野菜が育ちそうな春景色です。 中沢和彦 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ rinka[りんか]159号 2008.4.17 ─────────────────────────────────── 【編集・発行】 (社)全国林業改良普及協会 rinka編集部 〒107-0052 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル http://www.rinka.info/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メールを許可なく転載することを禁じます。 .